仏像制作を中心に作(創)ることを綴ります

母の小地蔵さん

2015/04/23
小地蔵さん

認知症真っ盛りの母にも小地蔵さんを作りました。合掌地蔵+蓮華座。台座を無くさないよう同じ木から蓮華座も掘り出してあります。とても喜んでくれて。
母の小地蔵さん

何も分からないわけじゃないのです。意識はちゃんとあるのにある部分がすっぽりと抜け落ちてしまい、しかも抜け落ちているという現実は認識できるから辛いのでしょう。努力でどうこうできることではないですし。体の隅っこから生きながら腐食して自分が自分でなくなっていくような恐怖と不安に押しつぶされそうになっているのだと思います。

今回も話をしているうちに愚痴というか不安を語りだしたので「そういう暗い気持ちになったらお地蔵さんの頭をなでるといいよ」と伝えた瞬間、安堵したような救われたような様子を示しました。「ああ、作った甲斐があったんだな」と感じました。

きっと、遠慮なく不安をぶつけられる(あるいは守ってくれる)相手ができたと感じたのでしょうね、人間じゃないけど。母は元々信心深い人だし、(一応)神仏だから何か奇跡でも起こるかもしれない、くらいの期待感があるのかも。連れ添いを亡くして以降、すがるものを必死に探し続けてきたであろう母には心を預けられる存在というのが大切なのかもしれません。

もしかしたらお地蔵さんがあることすらすぐに忘れてしまうかもしれません。でもいいのです。生活空間の中にそれがあることで無意識のレベルで何かが治まるかもしれません。もらった瞬間に「ここに救いがあるかもしれない」と思ってくれただけでもう十分、お地蔵さんは役目を果たしていると思うから。

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